古びたトタン屋根

トタン屋根のメンテナンスと塗装方法


数ある屋根素材の一つに、薄い鉄板を重ね葺いた「トタン屋根」と呼ばれるものがあります。特徴として他の屋根素材と比べると軽量であり雨漏りしにくく低コスト・好きな色に塗装することができるなどのメリットがあります。逆にデメリットとして、遮音性が低く外部の音が室内に響く・断熱性が低く夏場は熱を吸収してしまうなどがあります。
中でも一番大きなデメリットは鉄素材なため錆びやすく、耐久性が低い所です。そのため、定期的なメンテナンスが必要となります。一般的に5~10年周期で補修を行うと良いとされており、トタン屋根を長持ちさせるためには錆が進行する前に補修を行うことが効果的です。
補修方法の一つとして塗装があります。部分的に錆や苔が発生している場合や、変色している場合、塗装が剥離している場合はトタン屋根のメンテナンスとして塗装を行うことが可能です。錆びが発生した場合、自然に錆びが消えることはないため放置すると穴が空き雨漏りの原因となります。また、塗装を行うことで外観の美観の向上にもつながります。トタン屋根の塗装は手順を踏んで行うことで自分で行うこともできます。
まずサンドペーパーやスクレーパーなどで錆や剥離しかかっている塗料を取り除くケレン作業を行います。ケレンを行わずに塗装をしてしまうと早くに塗装が剥がれてしまうこともあるため、ケレン作業はしっかりと行いましょう。
ケレン作業を行うと、除去した錆びや塗料が屋根に残ります。このまま塗装を行うとこれらのゴミの上から塗装してしまうことにるため、高圧洗浄機を使用しゴミを洗い流しましょう。

爽やかな緑色のトタン屋根

次に下地の処理を行います。釘が浮いている場合は釘を打ち直し、ひび割れがある場合はコーキングで補修します。
下地処理が終わったら塗装に取り掛かります。まずは錆止め入りの下地用塗料で下塗りを行います。トタン屋根は鉄素材なため、錆止め塗料を下地に塗らないと早い段階で錆びがでてきてしまいます。次に下塗りの上から中塗り、上塗りを塗り重ねます。この際、下の塗料がしっかりと乾いていることを確認してから次の塗装に取り掛かりましょう。
上塗り塗装が乾いたら作業完了です。これらの作業は屋根の上に登り高所作業を行う必要があるため、注意して行う必要があります。
錆が広がることで穴が空き、雨漏りが発生します。雨漏りした場合は塗装では補修できず、修理が必要です。
雨漏りしている箇所が特定できている場合、防水テープやシーリング材を使用して雨漏り箇所を埋めることで応急処置ができます。雨漏り箇所の特定ができない場合は屋根全体をブルーシートで覆い、テープで固定することで応急処置をすることができます。これらの道具や材料は全てホームセンターで揃えることができるため、自分で行うことが可能です。屋根の塗装同様、高所作業を行う必要があるため、注意して行う必要があります。
屋根の劣化がひどくなり、これらの応急処置で処置しきれなくなった場合には、「葺き替え」と呼ばれる屋根の張替えが最も効果的です。葺き替えは、現状の屋根材を全て取り除き新たにトタン屋根を張るため、確実に雨漏りを防ぐことができます。しかし、これには工期がかかり、作業の他にも新しい屋根代や古い屋根材を処分するためにかかる費用なども必要なため、高いコストがかかってしまいます。
そこまでコストをかけずに修理したい場合は「重ね葺き」と呼ばれる修理方法もあります。重ね葺きとは既存のトタン屋根の上に新しい屋根を貼ることで、カバー工法とも呼ばれます。今ある屋根の上に新しい屋根を張り付けるため、古い屋根を取り除く必要がなく工期もコストも抑えることができます。屋根が二重になってしまうため屋根が重くなるというデメリットもあります。
しかし葺き替え工事には下地調整が必要です。下地の状態によると、下地調整・重ね葺き合わせた費用と葺き替えの費用を見比べると大きな差がないという場合もあります。その場合は、工期に問題がないのであれば重ね葺きではなく、古いものを取り除き新しいものに交換する葺き替えを行うことをおすすめします。
トタン屋根の重ね葺き葺き替えを行う際、屋根材を選ぶことができます。金属素材の屋根の場合、トタンではなくガルバリウム鋼板を検討することをおすすめします。ガルバリウム鋼板は、トタンと比較すると高価ですが、錆びにくく耐久性に優れています。トタンほどメンテナンスを行う必要もなく、屋根自体は高価ですが長い目で見るとガルバリウム鋼板の方がコストが良いとなる場合が多いです。
トタン屋根は金属素材であるが故に、頻繁のメンテナンスが必要です。錆がでてきた場合、早期に修理を行うことでトタン屋根を長持ちすることになるため定期的に検査を行うことが大切です。また、塗装を高価なフッ素塗料を使用したり葺き替えの際にガルバリウム鋼板を使用することで耐久度が増し、メンテナンスを行う頻度を少なくすることも可能です。